2011年02月13日

発表会の撮り方

幼稚園や保育園の発表会の撮り方には、
それぞれの会社やカメラマンにノウハウがあると思うので、
これが正しい!というものではないが、
ウチの会社で通常やっている方法の一部を紹介する。

まず大前提として、「平等」がある。
一人だけ写っている時間が短かったり、
極端にアップになっていたりはクレームの対象だ。
気をつけよう!

さて、カメラの配置だが、
最近は以下のようにしている。

1cam 有人 下手側
2cam 有人 センター付近
3cam 無人 センター(ステージサイズ固定)

2camを上手側に配置するという方法もあるが、
その場合は3台とも有人のときになる。
主な役割は、1camがグループとアップ、
2camが全員をフレームに入れたサイズと、
1cam同様にグループとアップを撮る。
3camは演技中はほとんど使わない。
画が広くなりすぎているからだ。

正常.jpg

上のように横一列で8人の子供が居る場合、

@2cam 全員
A1cam AB
B2cam GH
C1cam CD
D2cam EF
E1cam 3〜4人のグループでパン
以降は臨機応変に。

お気づきだろうか?
カメラは2台とも外側から内側に向かって進んでいる。
これにはもちろん理由があって、
内側から外側に向かおうとすると、
最初の切り取りで迷うことが多いからだ。
例えばAで1camがDEと撮ってしまうと、
それ以降で2ショットのキープができなくなってしまう。
「平等」を前提としているので、ある子たちは2ショットで、
またある子たちは3ショットでというわけにはいかない。
映像の繋ぎの基本から行ったら、
2ショットと2ショット(しかも同じ衣装)が続くのは
決して良いとは言えないが、これも平等を守るためだ。
さて、E以降は臨機応変にと書いたが、
ここから先も相手のカメラの画を確認しつつ、
同じ子が何度も被らないようにすることが大切だ。
もちろん極端に写っている時間が短い子がいてもNG。

タリー、リターンがしっかりしたシステムでなくとも、
相手の画を見る方法は所有の機材の中でやりくりして考えて欲しい。
インカムで指示が出せればベストだ。
ウチの場合はスイッチャーを繋いでいるので、
TDが各カメラに都度指示を出すが、
普段一緒にやっているスタッフは指示を出さずとも動いてくれる。



一人はずれ.jpg

ではこんな場合はどうか?
Aだけが極端に離れてしまっている場合だ。
正直言ってこうなるとキツイ。
Aだけ1ショットになってしまうことになるからだ。
それでは全員の1ショットを撮ればいいと言いたいが、
極端に離れてしまうような子は、年少などの小さな子なので
演技時間が短い。
ある程度は全体の動きも見せてあげたいので、
この場合は平等から離れてしまうが、

@2cam 全員
A1cam A(他より短い時間)
B2cam GH
C1cam BCD
D2cam EF

ということになる。
Aの1ショットを他の子たちより短くすることで、
平等を保とうと努力はしている。
小さな子たちの場合は、下のようになってしまう場合もある。

変則二分割.jpg

こうなった場合も考え方は同じで、
平等になるようにすることである。

実際には秒単位で写っている時間を計ったり、
人物のサイズを厳密に決めたりしていないが、
平等に撮るということを念頭に置いておけば
極端な不平等にはならないものである。

上の撮り方は、映像作品としては魅力に欠けるかもしれない。
引き画の次にグループショット、そしてアップを入れ、
サイズの違うグループショットを数カット、
全体の動きを見せて、アップ。
というように、マルチカメラならではの切り替えで
印象的な構成もできるが、
平等でなくなる可能性は高くなってしまう。

この撮り方に異論がある人もいると思うので
コメントにて受け付ける。
もちろん、すべてに返信コメントをつけさせて頂く。



posted by fukuda at 01:28| 群馬 ☁| Comment(5) | TrackBack(0) | 制作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なるほど。現場の状況がどうなるか、深い経験に裏打ちされた構成だね。よく考えられていて、参考になります。

1cam,2camで左右から割り振るのは現実的なアイデアだけど、それだとアングルの違いからくる不公平感はないのかな?
それなら、センターを2cam構成にして、より同じように撮れるような体制は考えられないだろうか?
引きの3camは逆にヒネって、引けていく方向から斜めに全体とか。
いつも思うのだけど、センターからの引き画ってつまらないと思うのよね。

どう?ww

Posted by いの〜〜 at 2011年02月13日 10:47
始めまして、ブログを拝見するに私も同業の物です。
発表会で3カメの場合は、私たちは通常センターに3台配置します、撮り方としてはほとんど同じですね。
マジで平等に撮らないと親からクレーム来ます
うちの子は誰々ちゃんに比べ1秒少ない!
アップが少ない!
サイズが違う!

特に小さい子供たちは演奏時間が短いので撮りきれない場合があります
撮り漏れがあった場合は最悪ですが、自宅まで出演料(DVD購入の場合DVD代金)返金と菓子折り持ってお詫びに行きます
こちらはロボットではないし感覚的な部分も多く、文句を言う親は難癖ばかり付けてキリがないので、全て対処できないのが現状ですが、ほとんどが返金すればにっこり笑顔で納得してくれます
世の中お金なんですかね・・・
最近クレーマーと言うかモンスター何とか・・・が多くなってきているように感じます

Posted by 黒鳥 at 2011年02月13日 15:58
いの〜〜さん
センター2台を有人カメラにするって案もアリですが、その場合は無人になった1台のテープチェンジが問題になります。(ウチの場合はHD100を使っているのでminiDVですから)
その問題さえなければいの〜〜さんの案でもOKですね。
あとは、器楽などの場合に子供の重なりがあります。それを回避するためにも別角度で有人カメラは必要になります。

黒鳥さん
センター3台ですか〜。
発表会って写真屋さんも一緒に入るからカメラ位置に関しては相談が必要ですよね。
写真屋さんもセンターが欲しいでしょうし。
そういうことも含めて相談しながらになりますね。
クレームに関してはおっしゃる通りで、他の子との秒数の違いを言われた経験もあります。絶対にクレームが来ないようにするには、園児の数だけ専用のカメラを用意しなくてはならない!と言ったこともあります。現実的ではないですけど・・・。(^^;

いの〜〜さんが書かれていますが、確かにセンターの引き画ってつまらないんですよ。
しかも無人だから出場している人数に合わせてサイズを変えることもできないし。
たまぁ〜にですが、1camの引き画を使うこともあります。ホント、たま〜にですけどねぇ。


Posted by fukuda at 2011年02月13日 22:22
@引き画
ABCしばらくフィックスからHへパンでフィックス(目立たない所からスタート。端は更に目立たないと思うのでピンで。ピンなので少々短め。パンはうまくいったら使う。)
B引き画
CHからAへパンでフィックス(端は目立たないのでピンで。この辺で全体パンがほしい。パンはうまくいったら使う。ピン同士なので少々短めでいいのかな。)
D引き画
EAからFGへパンでフィックス(うまくいったらパンを使う。)
F引き画
GFGからDEへパンフィックス(センターはどうしても目立ってしまうので2人くらいにし、最後にしたい。引き画でもセンターなので目立ってるし。)
H引き画
IABCフィックスからFGHへパンでフィックス(グループでパンもそろそろ。)
J引き画
あとは臨機応変にかな。

パンと記入したがほとんど引き画に逃げてつなげる。Cは成功したい が、難しい。Gならいけそう。Iは絶対成功させる。

まあBCをFGスタートにするなどの、逆をするとワンパターにもならないと思います。DEからFGとか少々変えると良いかも。パン入れる、入れないなどする。

みなさんいかがです。私のほぼ手の内です。

最近、端の子がセンターに来るフォーメーションなどがあり複雑で大変です。

Posted by Zas at 2011年02月16日 09:58
Zasさん、コメントありがとうございます。
確かにセンター付近の子は目に付き易いですよね。
なのでウチの場合は撮り逃しや露出回数が減る可能性を考えて、端から撮るようなスタイルになりました。適当なグループショットでもセンター付近の子はフレームに入りやすいですからね。
(うまくいったらパンを使う。)というのは、上手くいかなかったら引き画になっちゃうわけですよねぇ。であればフィックスのグループを多用(もしくは長めに使う)した方が良いように思います。パラ収録では編集で使うカメラを変えられますから撮影時の負担は減るでしょうけど、まずは現場で上手くやることが望ましいと思います。引き画への逃げを減らせたらいいですね。
横一列で立ち位置が変わらない前提で書きましたが、左右が入れ替わったり、人数が増えれば前後が入れ替わったりと複雑な場合もありますから、子供の顔で判断できないので大変です。
複雑なフォーメーションが多い場合は、保育士や先生に簡単なフォーメーション図などを書いてもらうと事前に確認できます。
可能であればリハーサルを見ておくと、少しだけ安心できます。(^^;

Posted by fukuda at 2011年02月16日 10:38
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