2022年02月11日

200万円の見積りが38.5万円に!

これからも映像業界で生きていく人たちに、
制作費について色々と考えてもらいたいと思い、
この投稿をさせてもらいました。

業務として映像制作をしていく中で、必ずと言っていいほど関わるのが広告代理店やデザイン会社だ。
クライアントから直接依頼をされるより、これらの会社を通して制作を依頼されることが多いという人はたくさんいると思う。営業部門を持たない会社やフリーランスであれば尚更だ。本当は言いたくないが、「昔は・・・良かった」と言う事が多くなった。特に制作費については30年以上この業界にいる人からすれば、同じ制作内容でも金額が半分以下になっているという感覚は共感できると思うし、10分の1くらいになってしまったと言ってもまったくの大袈裟ではない。それでも映像制作を続けるのであれば時代に合わせてやっていかなければならないので、広告代理店やデザイン会社とのお付き合いは大切にしたい。しかし、『お金はかかってもいいから良いモノを創ろう!』という感覚はどんどん薄れていき、利益のための計算しかできない人が出てきている現実もある。そういう相手と付き合い続けるべきか、考えなければいけなくなってきた。

ここから先は、遠くない過去に本当にあったこと。
200万円の見積りが38.5万円に!

広告代理店のAさんから見積り依頼があった。
大雑把に書くが、撮影2日間、Webで公開する5分程度の動画を10本編集。制作内容を書くとバレてしまうので書けないが、見積りを作成するための条件はもう少しあって、金額にはそれなりの理由がある。さて、この広告代理店とは、Aさんが担当になる前から上司の方々とお付き合いがあり、上で書いたような、『お金はかかってもいいから良いモノを創ろう!』という人たちだった。広告代理店であるのだから利益はもちろん追求するが、業者を値切るのではなく、クライアントからより多くのお金を出してもらう工夫や努力をしていたように思う。

話しを本題に戻す。
自分がAさんに提出した見積りは200万円。

撮影 25万円×2日間
編集 15万円×10本

自分が広告代理店に見積りを提出する場合は、広告代理店がクライアントにそのままの金額で提出しても大丈夫なような金額にする。つまり、広告代理店のマージン分も考えておき、ここから値引きをするというスタイルだ。これには理由があって、昔と違い、広告代理店の担当者は映像のことを知らないし勉強もしない。だから、見積書の各々の項目に対していくら位を乗せるのが妥当なのかわからない人が多い。なので、トータルの金額の20〜25%を取ってくださいということにしている。今回の場合は200万円なので、ウチは150万円で制作することになる。利益も確保されているし、暴利を得るような金額でもない。外注さんたちにも適切な金額で発注できる。
ちなみに、業界のことをまったく知らない人からすると、広告代理店は何もしないで20〜25%も持っていくのか!と思うかもしれないが、営業や制作過程の手配諸々の業務があるので、この割合も適切だ。
広告代理店からクライアントへの見積り提出が済み、制作開始となれば、打ち合わせや現地下見などで忙しくなる。映像制作をしていて楽しいと思える時間でもある・・・のだが、Aさんが担当になってからは事情が違ってきた。無知が故に(もしかしたら病気的なものなのかもしれない)、見積り項目の金額一つ一つに自分が納得できる理由がないとダメなようだ。長年やっているのだからもう理解してもいい頃だと思うが、たぶんこのまま理解できないだろう。別の角度から見れば慎重と言ってもいいのかもしれないが、それとはちょっと違うAさん独自のワールドがあるようだ。

ここから先、みなさんの理解を超えるような納得のいかない理屈や計算が出てくる。腹が立つかもしれないが、Aさんとの実際の電話のやりとりや考えをまとめてあるので(一部想像も含まれるが)そのまま読み進めてほしい。 

2日間(撮影予定日数)
10本(動画編集の本数)
25%(費用全体に対する撮影関連の比率)
75%(費用全体に対する編集関連の比率)

Aさんに言わせると、150万円では高いらしい。
では、いくらなら妥当だと思うかと聞いたところ、翌々日に電話で回答があった。まずは撮影関連の費用。200万円に対して25%の50万円(25万円×2日間)だったのだから、150万円に対して25%でなければならないので37.5万円。「計算しやすいように35万円にしましょう」(←実際に本人が言っていた)残りの115万円で10本編集だから、1本11.5万円。「計算しやすいように10万円にしましょう」(←実際に本人が言っていた)どうやら「計算しやすいように」=値引きといういことらしい。

撮影 17.5万円×2日間
編集 10万円×10本

ひとまずは上の金額で落ち着いたのだが、数週間経ってから連絡があり、制作する本数が5本になったらしく、それであれば撮影も半分の1日でいいだろうということになった。

撮影 17.5万円×1日間
編集 10万円×5本

電話の途中で独り言のように、「撮影は1日175,000円だから、5本で、え〜と(電卓を叩く音)87,500円ですね」と言い出した。これにはさすがに驚き、理由を聞いたところ、175,000円を10で割り(元の編集本数)、17,500円に5本(新たな編集本数)をかけると87,500円になると言うのだが、まず10で割ると考えたところが分らない。10で割るなら350,000円ではないのか?想像でしかないが、手元のメモに175,000円という数字が書いてあったのだろう。電話口でも常に落ち着きのないAさんなら考えられることだ。更に、ここまで我慢して読んでいる人であれば驚きはしないだろうが、編集単価10万円を2で割ったであろう金額、1本5万円という言葉が聞こえた。それでは福田さんのところが利益が出ないかもしれないから6万円でいいかというような独り言も、電話口の向こうから聞こえた。この時点でAさんは電話中であることも忘れていたかもしれない。正直言ってめんどくさくなったので、独り言を遮って結果を聞いてみた。

撮影 87,500円(スタッフ2名)
編集 300,000円(6万円×5本)
合計 387,500円
動画1本単価 77,500円

この会社とは以前からのお付き合いもあるし、コロナ禍で先が見えなくなってきたタイミングだったので、この金額で請けた。請けてしまったと言った方がいいだろう。




少し前にこの金額を基準にしてAさんから依頼があった。
制作内容はまったく違うが、スタッフ2名、撮影・編集込みで77,500円。
断った。

ここまで書いてきて、自分でも作り話を書いているのではないかと思えてきたが、実際にこういうことがあったし(一緒に現場に行った外注カメラマンさんならAさんの言動や思考は理解できると思う)、映像制作に限らず低価格化が進んでいる世の中なので、今後もAさんのような依頼主に遭遇することはあると思う。一つの仕事が安くても複数でまとまった金額になるような発注であればいいと思うし、スキルアップのために格安や無償で請け負うことがあってもいいと思うが、昔からの付き合いがあり、お世話になった会社であっても、適切な金額で取引きできないのであれば、今後の付き合いを考えなければならない。









posted by fukuda at 13:02| 群馬 ☔| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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