どの業界でも同じだと思うが、不景気になってからよく聞く愚痴に
「安物買いの銭失い」というのがある。
ケチってると結局は損するぜ!ということを依頼主には言えず、
周りに愚痴を言うしかない。
業者側は単純に儲けるために機器の選択をしているわけではなく、
先方の要望する機能や作業性を実現するために様々な機器の中から
最適なものを選んでいるはずだ。
その機器の性能が高いために価格も高くなる。
それを単純に“予算”という枠の中に納めようとして失敗する。
ふと思い出した。
以前の会社での話だが、新規に立ち上げられる結婚式場の収録システムを
提案して欲しいという依頼を受けた。
元の依頼主はもちろん結婚式場だが、間に一社(内装関係の会社)が入って、
そこが収録システムを納入することになっていた。
その会社から依頼を受けたわけだ。
披露宴会場をマルチカメラスイッチングで収録するシステムで、
カメラの台数などは正確に覚えていないが、
自分の主張でカメラだけは良いものを使いたいというのがあった。
もちろんスイッチャーも放送用の良いものを使いたかったが、
なるべく金額を抑えるという条件もあったので、
FS付きのスイッチャーを選択して、モニターなども業務用の安いクラスにした。
自分が出した金額は3,000万円くらいになった。
これに内装関係の会社がいくらか上乗せして先方に提出した。
何がどうなって最終金額が出されたのはか不明だが、
自分が所属していた会社の社長から言われたのは2000万円以内にしろ!
ということだった。
しかも、カメラをグレードの低いものに変える様にという指示まで付いていた。
画質などわからない人たちから見れば一番高価な機材の台数が一番多いから
ここを削れば単純に安くできるでしょ。ということらしい。
ちょっと抵抗した。
怒られた。
結局、「画質に関しては一切保証できませんからね!」と念を押して
監視カメラクラスにして金額優先でシステムを組んだ。
自分もサラリーマン。上からの圧力には勝てないのだ。
予想通りというか当然とうか、画質に関するクレームが各方面から来た。
「福田君、画質は何とかならないのか?何とかしてくれ!」
所属していた会社の社長から言われた。
社長としては発注側から言われたことを自分に言っているだけだ。
即答で「無理です」と言うと・・・、怒られた。
唯一の方法としてはカメラを含めたシステムを入れ替えることだと言うと、
「そんなことできる訳がない!」とまた怒られた。
DVが出る前のアナログ機器時代のことだ。
デジタルになった現在では、家庭用のカメラを使っても
画質でクレームがくることは無いだろうが、
当時は機器の価格=性能だった。
安いとうのは買う側にとっては良いことのように思われるが、
「安物買いの銭失い」という昔からの諺は今でも通用する。
posted by fukuda at 10:15| 群馬 ☁|
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